論文紹介

2026/06/30 2026/09/17

【薬理】
論文タイトル:
Polypharmacy and drug interactions in older patients with cancer receiving chemotherapy: associated factors.

 本研究は、化学療法を受ける65歳以上のがん患者552例を対象に、多剤併用、薬物相互作用、重篤な薬物相互作用の頻度と関連因子を検討したポルトガルからの横断研究です。対象患者の88.4%に5剤以上の多剤併用がみられ、76.5%に何らかの薬物相互作用、56.2%に重篤な薬物相互作用が認められました。また、抗がん薬を含む重篤な薬物相互作用も21.2%に認められました。高リスク薬の使用、糖尿病、高血圧などが薬物相互作用のリスクと関連しており、高齢がん患者では、抗がん薬だけでなく、併存疾患治療薬や支持療法薬を含めた包括的な薬剤レビューが重要であることを示しています。
本研究は横断研究であり、検出された薬物相互作用が実際の有害事象や治療中断につながったかまでは評価していません。しかし、がん薬物療法を受ける高齢者において、ポリファーマシーと薬物相互作用が非常に身近な問題であることを具体的に示しており、薬剤師を含む多職種による薬剤確認・処方調整の重要性を再認識させる報告です。 

雑誌名:BMC Geriatr. 2024 Jun 25;24(1):557.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41951901/
PMID: 38918696
PMCID: PMC11201315
DOI: 10.1186/s12877-024-05135-6

【泌尿器がん】
論文タイトル:
Optimizing management of small renal masses: a patient-centered approach to minimize overtreatment.

小径腎細胞癌に対しては腎部分切除術が標準治療として広く行われていますが、過剰治療が合併症を回避する目的で、焼灼療法、凍結療法、放射線療法、監視療法といった多様な選択肢の意義が議論されています。本総説では、各治療法の治療成績と合併症、さらに高齢患者における治療アウトカムがまとめられています。あわせて、転移を有さない3cm未満の小径腎腫瘍を対象に即時手術と監視療法を比較する、今後開始予定の多施設共同前向き並行群間試験であるJCOG2409試験の意義とデザインが紹介されています。小径腎細胞癌における患者中心の最適な治療選択を検討する上で有用な総説と考えます。

雑誌名:Jpn J Clin Oncol. 2026 May 2:hyag069.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41951901/
PMID: 42068570
DOI: 10.1093/jjco/hyag069. 

【老年医学】
論文タイトル:
Long-term habitual physical activity and risk of mortality and long-term care insurance certification in cancer survivors: a prospective cohort study in the LIFE study, Japan.

本研究は、日本のLIFE studyデータベースを用いて、がんサバイバー39,435例における身体活動習慣と、その後の死亡または新規要介護認定との関連を検討した研究です。身体活動は、健診項目に含まれる「週2回以上、1回30分以上、1年以上の運動習慣」と「1日1時間以上の歩行または同等の身体活動」の2項目で評価されました。その結果、運動習慣と歩行習慣の両方を有する群と比較して、身体活動習慣の乏しい群では、死亡または新規要介護認定のリスクが高いことが示されました。この関連は、とくに65歳以上の高齢がんサバイバーで明瞭でした。
本研究は観察研究であり、身体活動の低下が死亡や要介護認定の原因であることを証明するものではありません。もともとの体調不良、治療状況、フレイル、疼痛、倦怠感、がんの進行などによる逆因果や交絡の影響は残ります。しかし、がんサバイバーにおいて身体活動習慣の低下が、生活機能低下や死亡リスクと関連する可能性を示した点で示唆に富む報告です。高齢がん患者の診療では、活動量の低下をフレイルや体調悪化のサインとして捉え、多職種で支援につなげる視点が重要と考えられます。

雑誌名:BMJ Open. 2026 Feb 16;16(2):e104102.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41698730/
PMID: 41698730
PMCID: PMC12911806
DOI: 10.1136/bmjopen-2025-104102

【老年医学】
論文タイトル:
Nationwide survey of Japanese Physicians on Kampo medicine use in frailty care.

日本の医師8,351名を対象とする全国規模ウェブ調査を実施し、フレイルに対する医師の認識、実際の介入内容、ならびに漢方薬の使用実態と治療評価の特徴を解析し、約半数の医師が日常診療でフレイルを診断しており、食欲低下、低栄養、サルコペニアなどの症候に対して一定割合の医師が漢方薬を処方していることが示されました。診療所医師は病院医師より処方頻度が高く(14.1% vs 10.5%)、主に食欲不振、栄養失調、サルコペニアに使用し、2週間以内の効果判定割合が多かく、高齢の医師では実臨床での処方頻度は低い一方、自身が将来フレイルとなった場合には漢方を選択する割合が高いという特徴的な結果がでました。

雑誌名:Sci Rep. 2026 Apr 8;16(1):16645.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41951901/
PMID: 41951901
PMCID: PMC13219555
DOI: 10.1038/s41598-026-48001-8